もうすぐ90歳を迎える祖母の硬い体を抱き起こし、トイレに連れて行く叔母。

一晩に3回の話です。

 

 

私には60代の叔母がいます。

長年一緒に暮らしてきたお姑さんを看取った後、年老いた愛犬を看取りました。

美容院に行けなくなったお姑さんの髪をこまめにきれいに切ってあげたり、雷を怖がる犬のために玄関近くで添い寝してあげたり・・・。本当に優しい人だと子供心に思いながら過ごしてきました。

 

年月を経て、今では私の祖母、つまり自分の母親を自宅で看ています。

祖母は耳が遠く、足腰が弱くなり、介護を必要としています。それでいて頭ははっきりしているので、より本人の意見を尊重し、質の高い生活をキープする必要があります。

 

大変おしゃれな祖母のことですから、朝の洋服選びは一苦労です。叔母は納得するまで着替えを手伝います。祖母は化粧を欠かさないため、夜はクレンジングなども手を抜きません。

また、時間がかかっても自分でトイレに行くので、一日に、いえ一晩に何回でも介助を怠りません。

 

年老いた祖母の方に目が行きがちですが、叔母の献身的な介護あってこそ、今の祖母の幸せは成り立っているのだと思います。

 

いつも寝不足でありながら、さりげなく若い人の流行りを取り入れ、おしゃれで元気に暮らす叔母。すごいことだと思います。自分というものをしっかり持っていてこそできること。

 

今回は、叔母をマッサージさせてもらいました。肩と腰が張っていたので、ジンジャーを主とするブレンドオイルを使いました。ジンジャーは体を温め、活力を与える効果があります。また、生命力をアップさせ、意志の力や決断力を活性化させます。元気でいてほしい叔母に合ったアロマだと思います。

 

叔母の手をマッサージしながら思いました。

マニキュアをしない、短く切りそろえられた爪。祖母を支えるために、少し痛めてしまった指。

そんな叔母の手は今、香り高いオイルに包まれ、どんな人の手より、うつくしく輝いています。